2016/04/18 (月)
選手

吉村選手、感動呼ぶ2連発! 力尽くし6連勝

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【4月17日(日) ホークス9×-7イーグルス ヤフオクドーム】

<今日の熱男=吉村裕基選手 9回同点、延長サヨナラ! 奇跡の2連発>

絶対にあきらめない。最後まで全力を尽くし、必死に前を向いた。

勝ちたい――。勝利を、勇気を、届けたい。

4点差を追いかける9回裏。先頭の代打・江川智晃選手が8球粘ってフォアボールを勝ち取ったところから、ナインの思いがつながり、実を結びました。

2アウトになるも、4番・内川聖一選手が追撃のタイムリーで3点差に。続く松田宣浩選手もヒットを放って一、二塁とランナーをためました。ここで代打・吉村裕基選手が打席へ。今季この打席まで、16打席で16打数ノーヒット。惜しい当たりもありましたが、どん底に喘いでいました。

「悔しい状況が続いていましたが、ヒットを欲しがっている自分はいませんでした」。しかし、プロ14年目で通算124本塁打を誇るスラッガーでも凡打の山を築けば、自分の立場がどのようになるのかは自身が一番分かっています。

それでも吉村選手はこう考えていました。

「先日の地震。打てないくらいの自分の悩みなんて小っちゃいこと」

熊本は吉村選手にとっても縁のある土地。自主トレをしていた時期もあり、多くの知り合いが住んでいるといいます。そして3年前の熊本主催試合では勝ち越し3ランを放ち、ホークスに移籍して初めてのお立ち台に立ちました。その時には「大好きな街で打てて良かったです」と嬉しそうに話していました。

野球選手として野球が出来る幸せ。打席に立つとたくさんの声援で勇気が湧いてくる。だから野球で恩返しがしたい。勇気を与えたい。

フルカウントからの6球目、「思い」を込めた一振りは、ライトのホームランテラスに飛び込む起死回生の1号同点3ランとなりました。

そして、本当のドラマは12回裏。

先頭の松田選手がヒットで出塁し、吉村選手の2打席目。「決めてやろうとは思っていなかった」。しかし、勝負を決したのは2打席連発となるサヨナラ本塁打。レフトスタンドへ、大きく、美しい弧を描き、打球は吸い込まれていきました。

「僕だけじゃなく、ホークスの選手、そしてプロ野球選手全員が、みんな(被災地のことを)心に留めてやっています。内川さんが先日言っていたように、野球選手として野球で勇気を与えられるよう、一生懸命やっていきたいです」

また、この日のライトスタンドには「がんばろう熊本 九州はひとつ」「がんばろう!九州」という横断幕も掲げられていました。

ホークスはこれで破竹の6連勝。週明けからは首位浮上へ、現在1位のマリーンズとビジターで3連戦を戦います。

工藤監督の熱男トーク

(チームスタッフらとハイタッチをしながらベンチ裏へ)
「こんなことが!」と顔を真っ赤に。

――吉村選手の劇的な2本塁打
「スゴイ、の一言でございます! 12回はノーアウト一塁の場面だったが、打ってくれと打席に送った。無死二塁だったら右打ちのサインも考えたが、バントは考えていなかった」

――これまで無安打だったが
「いい当たりの凡打もあった。調子が悪いとは見ていませんでした」

――被災地にも力強いメッセージとなる試合だった。
「少しでも力になりたい。最後まで諦めないという思いを選手たちも出してくれたと思います」

2016年4月18日掲載
田尻 耕太郎(スポーツライター)

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