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2019年のドラフト会議を直前に控え、今の心境やこれまで語られていなかったドラフトの裏側など、リアルなスカウトの声を聞くことができた。

福岡ソフトバンクホークス スカウト

永井智浩

編成育成本部本部長兼スカウト・育成部部長

福山龍太郎

チーフ
出身:福岡県
主な過去の担当選手:今宮健太
経歴:東筑高~法政大~ダイエー(1998年ドラフト4位)

作山和英

チーフ補佐
出身:福島県 担当地区:東北・北海道地区
主な過去の担当選手:上林誠知
経歴:学法石川高~東北福祉大~ダイエー(1991年ドラフト2位)

宮田善久

出身:栃木県 担当地区:関東地区
主な過去の担当選手:甲斐野央
経歴:国学院栃木高~法政大~熊谷組~立命館大コーチ~立命館宇治高監督~ダイエースカウト

スカウト座談会

――ずばり、今年のドラフトは楽しみ?不安?
全員:楽しみ
永井:みんな不安は少なからず抱えているけど、楽しみでもある。この日のために1年間頑張っている
福山:スカウトは1年間、雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も、この日を迎えるために一生懸命やってきている。当然リスクもあるし、獲った選手が活躍するかもわからない。ただ、これまでの努力の結晶がようやく報われる。その日を楽しく、ワクワクして迎えたい
宮田:この時期になると候補となる選手もある程度厳選されてきているので、ホークスが欲しい選手をいかに獲れるか、が楽しみですね。12球団で獲り合うわけですから
作山:みんなと同じですね。このドラフトの日にいい結果を出せるように1年間働いてきた。不安もあるけど、どんないい選手が獲れるんだろう、欲しい選手が獲れるかな、ってことの方がそれ以上に楽しみ。自分たちの思った通りにならないのもドラフトですから。

――スカウトとして一番大事にされていることはありますか?
作山:フットワーク。これが基本かな。とにかく足を運んで、見ることも大事だし、人に会うことも大事だし。やはり我々にとって一番大事な要素かな、と。じっとしていては僕らの仕事は始まらないので。どれだけ動いて、どれだけ多くの選手を見て、どれだけ情報を得られるか

――いろんなところに行ったり、何度も同じ選手を見に行ったり?
作山:そうですね。本当に今は情報が多いので。その情報が本当のものかどうかは、確認しなければいけない。自分の足で探して、自分の目で見て確認をしないと役に立たないんでね。この仕事を始めて27年になるけど、始めた頃よりなおさらフットワークが大事だと年々感じています。情報量だけは多いので、ニセモノの情報も膨大にある。その中から本物の情報を探し出すためには、自分が動くしかないと思っている

――福山スカウトは「縁」を大事にされているんですね
福山:作山スカウトと同じように、もちろんフットワークも大事にしています。この仕事をやっていて、自分が動いた結果、出会う人々から自然と人脈が広がることも多いと思っています。特に思い出深い育成選手とかが何人かいたりしますよ。千賀投手を指名した時も、人と人のつながりや、とある人の発したたった一言とかの積み重ねでしたからね。そういう縁がつながってこその仕事でもあるのでね。決して今、能力的にうまくいっていなくても、人の縁の中で、人と出会って、エネルギーを感じて、伸びていく選手をたくさん見てきています。そういう意味でいくと、選手を直接見て評価することも大事ですけど、人の縁のおかげで今見えていない良いものが見えてくる、っていうところも大事にしています。厳しい世界ですから、周りのサポートがないとうまくいかないことが多いです。我々スカウトは選手をサポートする立場でもあるので、指名するだけで終わらず、入団後も良いご縁と付き合っていきたいですね

――宮田スカウトは「信用」ですね
宮田:信用されていないと正直な話とかも聞けないので。お互いの信頼関係の中で、情報をもらうとかもね

――信用を得るためには?
宮田:やはり足を運んで、直接会うこと。あるところから情報をもらったら、自分で確認をして、コミュニケーションをとる。そうするとまた次も情報をもらえる。そういう小さいことも大事にしています。堀内選手(2014年育成ドラフト4巡目、18年3月支配下登録)の情報は、タクシーの運転手から教えて貰って実際に見に行ったこともありますから

――永井スカウト部長は「輪」と。
永井:スカウトの仕事の大半が、単独で動いている。1年に1回ドラフト会議があって、目的は1つ。個々で動いていても、最後はチームとして1つの結果に向かってみんなでやっている。単独の動きが多いからこそ、スカウトの「輪」が大事だし、スカウト同士の結束が強いところは強いチームを作っていける。今スカウトのみなさんが言ってくれた“フットワーク”や“信用”はもちろん、“情報”を得るにしても、各担当地区でそれぞれの「輪」を作ってくれていると思っています。その「輪」があるからスカウトはその地区で仕事ができる。そしてその「輪」が、どんどん広がっていって大きな「輪」が出来ている

――ホークスのスカウトってどんなチームですか?
永井:ベテランからキャリアの浅い若手スカウトまで幅は広いですね。それでも言いたいことは言い合える、そういうチームにはなりつつある。若いスカウトが気を遣って自分の意見を言えないような雰囲気のチームではないと思いますね

――では続いての質問です。スカウトのみなさんの験担ぎを教えてください。
永井:験担ぎ!?・・・え、これないぞぉ?(一同笑い)
福山:験担ぎではないかもしれないですけど、“自己管理”。一般の人よりは移動が多い職業なので、いい仕事をするためには体調が万全じゃないとね。朝早いことも多いので、常日頃から自己管理だけはしっかりしています。
永井:何かやってます?
作山:そうですね、大事な日にはプロテインを必ず飲んで行きます(一同笑い)。
永井:そうそれ、それいい!(笑)
作山:特別なプロテインよ?(笑)
福山:“プロテイン作山”とか呼ばれそうやね(笑)
永井:大事な日にはやっぱタンパク質!炭水化物だけじゃ乗り切られへんから。

――作山スカウトは普段もプロテインを飲んでいる?
作山:そう。大事な日には特別なやつね。いいやつ。缶がゴールドでね、いつもはシルバーですよ(笑)

――宮田スカウトはありますか?
宮田:僕は、もうずっと、高輪にある高輪神社(港区高輪二丁目)に必ず参拝してから行きます

――ドラフト当日に?
宮田:そう、ずっとね。十何年かな、必ずです。ドラフト会議の会場の氏神様が高輪神社に祀られていらっしゃるんで。ドラフト会議が終わったら、お礼参りにも行きますよ
福山:昨年お参りして、1位抽選外しました・・・。

(一同苦笑い)

福山:ふらっと歩いていたら、あっいいところに神社あるなと思って
作山:そんな気まぐれで行くからよ(笑)
宮田:でも、おかげさまで甲斐野投手(外れ1位)が大活躍よ
作山:結果的には昨年のドラフトは成功してるって言えるかな
福山:高輪神社、様様ですね
作山:僕も行ってたことにしてもらっていい?(笑)
福山:そこでプロテイン?(笑)

――プロテイン飲んで参拝に行く、をルーティーンに(笑)
作山:朝から忙しくなりそうだな・・・
永井:でも、ルーティーンってあんまり作りすぎない方がいいよね
全員:あー、たしかに
永井:選手の時にルーティーン作りすぎて訳が分からなくなった
作山:1つ忘れたらえらいことになるもんね(笑)

――続いての質問です。スカウトの目線でこの1年間ホークスの中で一番成長したと思う選手はだれですか?
永井:甲斐拓也選手。昨年頑張って、今年プレッシャーが大きい中でやってきている。さっきも出たけど“自己管理”っていう面でね、キャッチャーっていうハードなポジションで今年1年故障もなくやってきた、というのはすごいなと。そういうのは彼の自信にもなるし、周りからの信頼にもつながるし、この先何年間か正捕手としてやってくれるんじゃないかな、という思いを抱きましたね。

――甲斐選手は何かが変わった?それともこれまでの積み重ね?
永井:キャッチャーって、これまでの積み重ねとか経験とかが一気にガタっと崩れやすいポジションだと思っているので、故障なく1年間やり続けて来れたことが一番大きい。そういう意味で昨年の経験が生かせたこの1年だったかと思います

――甲斐選手を担当された福山スカウトはどう思われますか?
福山:もう立派なプレーヤーで、私から何か言うことはもちろんないですし。昨年から打てるキャッチャーを目指したいと公言して打撃に取り組んできて、キャリアハイ。有言実行でやってきていると思います。守備力も言わずもがな、12球団トップレベルでね、素晴らしい成長だな、と改めて思います

――作山スカウトは「周東佑京選手」ですね?
作山:今年育成から支配下登録されて、ホークスファンでも周東選手のことを知らない人の方が多かったと思うんですけど。チャンスをもらって、1軍に上がって、そこから今の時期まで2軍に行くこともなく1軍に残ってきたということは、やはり彼の成長があってのことだと思います。特に、彼の“足”という特別な武器を生かして、信頼を得ることができたのが大きい。自分の出した結果で信頼を得ているので、十分に成長したのではないかと思いますね。今年でまだ2年目ですが、昨年は2軍で盗塁王にもなってますしね。正直、育成で入団しているので周りの期待はそんなに大きくなかったかもしれないですけど、与えられたチャンスをしっかりものにしましたね。少ないチャンスから始まって多くのチャンスにつなげてきたと思います。とにかく実績の世界で、彼の努力で掴んだチャンスなので、本当によく成長したものだなと。

――侍JAPANにも選出されましたね。
作山:まさかね!スタートは育成という一番下からではありますが、侍JAPANに選出されるまで一気に上り詰めているので、誰よりも成長していると言えますよ

――宮田スカウトはやはり「甲斐野央投手」ですか?
宮田:正直、大卒ルーキーでここまで投げてくれるとはちょっと想像していませんでしたね。夏場でヘタるんじゃないかな、ヘタるんじゃないかなとずっと心配でしたよ。特に、中盤で森投手が一時離脱したことで、クローザーも任されるようになった時期はドキドキしながら見ていました。今年1年はよく頑張ってくれたなと思います。

――甲斐野投手は元々体が強かった?
宮田:そうですね。でもね、大学の時は誰に聞いても「甲斐野は練習やらんぞ」って感じだったんですけどね(笑)

――ホークスに入ったことで変わった?
宮田:本人にとっても未知数だったと思うんですよ。年間でこんなに投げたことはなかったはずなので。彼にとっては短いイニングを数多く投げることがはまったのかも。エンジンは大きいものがあったので、逆にうまくこなせたんじゃないかなと

――福山スカウトは「大竹耕太郎投手」をあげられました
福山:私が九州を担当していて、彼が高校生の頃からずっと追いかけてきて、昨年は後半から頑張ってくれて。今年の最初は先発ローテーションの一角でしたが、だいぶ苦しんでてね。まだ一登板一登板手探りの中で投げている印象は正直ありますが、一歩ずつステップを踏んで行って、彼の努力で先発ローテーションを勝ち取って、っていうところはすごくいい。途中調子を落として2軍に行きましたけど、彼はもっとやってもらわないと困る選手ですから。思考力の高さや体の強さ、成長力などにおいて、私がスカウトをしていてこんなにポテンシャルの高い選手は見たことがなかった。彼の伸び幅とクレバーさを考えると、もっと期待しています

――最後の質問となりますが、これまでのドラフト会議での忘れられない思い出・エピソードはありますか?
宮田:福田秀平選手ですかね。まさかの、でした。自分の中では3位くらいで指名するかなと予想していましたが、1位(2006年高校生ドラフト)で指名しましたからね。驚きましたよ

――福山スカウトは「今宮健太選手」ですか。
福山:この年注目されていたのが、花巻東高校の菊池投手(現マリナーズ)と、九州では清峰高校の今村投手(現広島)と明豊高校の今宮選手でした。今村投手も当時すごく思い入れのある選手でしたが、指名できるのは1人しかいないというところでね。最終的に、今宮選手と面談をした時に、「僕がホークスの一番になりたい」という決意を聞いた。「本当にホークスの一番になれるのか?ミスターホークスになれるのか?」と聞いた時の「絶対にやりますから」という言葉と彼の目は一生忘れられない。当時から目つきの鋭い、良い目力のある選手だなと思ってはいました。やはり身長が大きい訳でもないので、ドラフト1位で指名するかどうかは担当スカウトとしても不安は少なからずありましたよ。高校時代に154キロ投げて、62本打っていたとしても、伸びしろはわからないですからね。当時の彼のあのエネルギーは本当に忘れられないですね

――作山スカウトは2013年4巡目指名の「上林誠知選手」
作山:このドラフトの年は球団として、“左打ちの外野手”は飽和状態だったんです。当時1軍には柳田選手・中村晃選手・長谷川選手・明石選手・福田選手がいてっていう状況でね。それ以外の投手・捕手・内野手を重点的に指名する方針でした。担当スカウトとしても上林選手を高く評価はしていたのですが、ドラフト会議前は少し諦めてはいました。ドラフト会議当日のテーブルで4位指名の順番が回ってきた時に、上林選手がまだ残っていたんですよ。実は球団評価としてはもっと高かったので「内野はできないの?」って話になって、「中学校の時にショートをやったことがあるらしいですよ」と僕は答えました。「やれます」とは言ってない(笑)。そんな話をしていて上林選手を指名しました。知っての通り上林選手は高校時代外野手をやっていましたが、ドラフトの指名画面では“内野手”となっていました(笑)。プロに入ってから最初のうちは上林選手に内野をやっていただいたんですよ。その頃は多分上林選手は俺のこと嫌いやったと思う(一同笑い)。

――スカウトの控室も少しざわざわしてましたよね?
福山:ちょうど今くらいのドラフト直前の会議でも、名前をあげられないくらい外野手は球団のニーズから外れていた。だから意外というか。
作山:当時、こんな高い評価の外野手がまだ残っているんだったら評価相当の他の選手を指名するよりいいんじゃないの?ってなったから指名できた。スカウトからしたらありがたい話ですよ。能力評価で指名していただいたんでね。結局、良い選手が残っているのにスルーしないといけないなんて・・・。
永井:他球団もざわざわしてたからね
宮田:ちょっと今年は苦戦してますが、若き大砲候補の選手ですからね!

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――最後に永井スカウト部長から今年のドラフト会議への意気込みについて
永井:担当スカウトが1年間かけて、フットワークを使って、みんなで集めた情報を結果として結びつける日なので、チームにとって良い結果を迎えられるドラフト会議にしたいな思います

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