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2018年のドラフト会議に向け、スカウトの仕事について、これまでのドラフトの思い出、今年に向けての思いなどを、スカウトの方に集まっていただき、皆さんに語っていただきました。

スカウト座談会(前編)

――ドラフトは楽しみ? それとも不安?
楽しみ:永井、岩井、山崎、山本、荒金、福元
不安 :福山、宮田、作山、稲嶺
 
――山崎スカウトはどういった所が楽しみですか?
山崎「自分の担当地区の自分の評価した選手がウチに入って、これからどういう活躍するか。そのイメージがつく選手に関しては楽しみ。それが候補選手全員かというとクエスチョンは付きますけど。ドラフト全体というより選手個々への楽しみ。縁があったらいいな、と」

――岩井スカウトはベイスターズやファイターズでも同職を歴任されて、ホークスのスカウトとしては初めて迎えるドラフトになりますが?
岩井「1年間の総決算ですから。自分たちが見てきた中で獲得したい選手が何人かいるわけです。山崎スカウトが言ったように自分の担当地区で、どうしてもホークスでプレーしてほしいという選手を見つけた時は不安ではなく楽しみですよ」
 
――逆に不安派の宮田スカウトは?
宮田「毎年不安です(一同笑い)。不安ですよ。私の担当している関東地区はそれなりに上位候補になる選手がいる。だけど自分の評価に間違いがあって、低く評価した選手が他球団に行って活躍されると…と思うと。選手はとにかくたくさんいますから。あとは、やはり狙っている選手がホークスが指名する段階で残っているかどうか。こればっかりは他に11球団もあるので」
作山「そうですね。それまでに自分の思い入れのある選手はリストに残しているので、確実に獲れるかどうか。また、自分の見積もりが合っているのか間違っているのか。やっぱり他球団の動きもドラフト寸前まで見えないところもあります。不安を覚えますね」
 
――年間を通して定期的にスカウト会議が行われますが、ドラフト10日~1週間前のこの段階ではリストに何人くらいの選手が記載されているのでしょうか?
永井「まず様々なパターンを作成します。各スカウトが見てきた選手たちを並べてみて、今年のウチにとってどのようなドラフトをすれば100点に近いのかを考えます。だけど、2位以下はウェーバー方式(*1) なので自分たちの思うようにいかないところはあります。その時々でのパターンをいくつも用意するのです。ドラフト会議の中ではすぐに対応しないといけない。だから、今の段階でもそれなりに候補は残しています」
福山「大まかに70名くらいは残しています。年の初めにスカウト会議を行う頃は150名ほどいました。多い年だと200名とか」

*1:その年のペナントレース成績で、下位球団から順番に指名ができる方式。一度指名された選手は他の球団が指名することは出来ません。今年の順番はこちら

――スカウト1人当たり、どれくらいの選手を見るのですか?
福山「それは担当地区によって様々ですよね。ただ、選手の数というか、見る試合に出ている選手は両チームとも全員見ていますよ。何千人になるかも。例えば打順ひと回りは必ずチェックするから九番バッターでもしっかり見るし、シートノックも、投球練習も目の前にいる選手は全員見ます。その中で動きを確認して、プロの対象になるかならないかを1人1人判断して、リストを作り上げます」
山崎「100試合見れば、最低でも18人見るからその単純計算だけで1800人になりますからね」
永井「その地区の高校とか大学、社会人のチーム数を数えた合計といっても言いかもしれないですね(笑)」
福山「数で言えばそうなります。ただ、あらかじめ対象選手に目星をつけて行くこともあるので、そうなると選手数というのは変わってくるかもしれません。もちろん注目選手の場合は複数回チェックに行きますから」
山崎「やみくもに足を運ぶわけじゃないですからね。1人の情報を聞けば、その試合を観に行きますけど、結局は出ている選手は全員チェックはするので数は膨れ上がるということです」
福山「レギュラーだけじゃなく、控えの子でもたとえば背の高い選手がいれば『なんだ、あの選手は』と目を惹くこともありますし、野球以外の部分も見ます」

――ではホークススカウトの中で、今年は俺が一番試合観に行ったぞと自負される方はぜひ挙手を!
一同「・・・」

――いませんか(笑)?
永井「みんな同じくらいですよ」
山崎「土日はどのスカウトもみんな、どこかの球場、グラウンドに行っていますから」

――1日に何試合も観ることも?
福山「そうですね。会場を変えながら5試合ハシゴすることもあります。甲子園だって1日4試合ありますし」
宮田「年間300試合前後は観るでしょう。スコアブックに記録をつけながら見た試合だけでもそうなると思います。私がスカウト1年目の時が、たしか310試合ほどでした。ただ、スコアをつけずに観る試合もありますから、それも併せるともっと膨れ上がります」

――選手のどこを見ますか? どこに惹かれるのですか?
山崎「ビビッとですよ」
岩井「そんな番組あるよね。でも、そう。これは説明のしようがないんです。コイツは、と感じるんです。その選手を集中的に見る。そうすると、ビビビッと来たときは練習を見に行く」
山崎「『ビ』の進化系ですか(笑)」
岩井「でも、そうですよ。それが『ビビビビ』って増えていく選手が、魅力的な選手なんです」
福山「最初の印象はオシャレかどうか。野球の動きが様(さま)になっている選手は目を惹きますね。ノックの動き、捕り方、投げ方とか」
岩井「オジサン風にいえば『洒落てる』ですかね。バットの構え、マウンドのしぐさ、ユニフォームの着方、体型、走り方、歩き方、チェンジになった時にどんな動きをしているか。そこが洒落てる選手はビビビッときますよね」

――岩井スカウトはベイスターズ時代に、内川選手を高校時代にご覧になって獲得されていますが、内川選手はどんな選手でした?
岩井「見た瞬間にこんな高校生いるのって、ビビッとどころか電流が走りましたよ」
一同「爆笑」
永井「最上級が出ました!」

――荒金スカウトはそのような経験は
荒金「僕も直感ですよ。グラウンドの中で1人だけキラキラしてるんですよね」
稲嶺「僕も同じ。パッと見で走り方が違うとか」
福元「僕も同じになっちゃいますね。あとは自分が内野手だったので、同じ内野の選手にはつい目が行ってしまいますね」

――ホークスは2011年に三軍制度が導入され、育成選手をより積極的に獲得するようになりました。それ以前と現在では選手の獲得の仕方、選手の評価の仕方などに変化はありましたか?
作山「幅広く見るようになりましたね。育成制度がなかった時代には手が出せなかった、いわゆる『素材型』と言われる選手も獲得しやすくなりました。一芸に秀でた選手。打撃だけ、強肩だけとか。支配下のドラフトだとバランスも重視されるので獲得しにくかったけど、育成ならば『もしかしたら打撃だけでもプロで大成するかも』と見越して、リストに残していくようになりました」

――その分、見る選手の数や足を運ぶ学校の数などは格段に増えたのでは?
作山「かなり増えました、言ってしまえばソコソコと言われる選手でも評価対象の選手になって来るので、甲子園出場選手などは全員が調査の対象になります。どこに可能性があるか分からない。たとえば今、活躍している甲斐拓也選手にしても普通の見方をすれば見逃してしまう選手だったと思います。でも、肩ならば抜群に強い選手がいるのではと僕らも探していますから、それで我々も見るようになった。以前ならば小柄な捕手というだけで調査対象から外れていたかもしれません」

――今年でいえば大竹耕太郎投手が育成ドラフトから1年目で支配下入りを勝ちとり、一軍で活躍しました。担当されたのは山本スカウトでした。彼のどのようなところを評価されたのでしょうか?
山本「まず大学最後のリーグ戦での状態が少し上向いてきていたのと、ドラフト前に早稲田大学の高橋監督と大竹投手と3人で話をした時に、退路を断ってプロ一本に絞ります、勝負をしたいと言った時の彼の目から強い意志を感じ取られた。それは印象に残っています」

――1年目からの活躍は正直予想されていましたか?
山本「もちろん期待はしていましたが、予想を上回りました。大学生でも体を1年目からしっかり作って行けばこれくらい活躍できるんだという、我々の勉強にもなりました。1つのモデルケースですよね」

――今年も世の野球ファンを驚かす、他球団のスカウトも知らないような選手を獲得するということも?
永井「それはどうかな。今のご時世はインターネットも普及しているから、名前は大体知れ渡っているし、志望届もありますから」
作山「昔よりも独占で情報を得るというのはしづらいというか、かなり難しい。現時点で来年のドラフト候補選手すらパソコンを見れば名前が出てきますから。動画まで見ることが出来ますからね。アマ野球ファンの方が撮った動画がユーチューブなどに公開されていれば、結構活用させていただいています。新チームになった直後などは特に。投手の投げ方など参考になりますからね」

――注目した選手については、何度も球場や練習グラウンドにも足を運ばれるということですが、そのような御経験は?
山崎「僕は寺原隼人投手ですね」
岩井「僕はその当時ベイスターズのスカウトをやっていましたが、山崎スカウトは1年中日南のグラウンドにいましたね。私が15回通えば、必ずネット裏にいましたよ。山崎さん、毎日いるの?って声を掛けると『ん?うーんそうねー』ってはぐらかすんです(笑)。日南のホテルにずっと泊まり込んでたんじゃないですか? スゴイ苦労ですよ」
山崎「年間に200泊はしたかもしれませんね(笑)」
永井「住んでるのと変わらないですね!」
岩井「あの時はダイエー、中日、巨人が寺原投手に注目をしていて、横浜の私は最後の最後に割り込んでいったんですよ(笑)」

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有料会員限定部分のトピックス

  • チェックする試合の数や選手の数
  • 選手のここに惹かれる
  • 三軍制度導入後の育成選手含めた選手の獲得について
  • ネット時代のスカウトの今

福岡ソフトバンクホークス スカウト

永井智浩

編成・育成部部長兼スカウト室室長

福山龍太郎

チーフ
出身:福岡県
主な過去の担当選手:今宮健太
経歴:東筑高~法政大~ダイエー(1998年ドラフト4位)

作山和英

チーフ補佐
出身:福島県 担当地区:東北・北海道地区
主な過去の担当選手:上林誠知
経歴:学法石川高~東北福祉大~ダイエー(1991年ドラフト2位)

岩井隆之

出身:大分県 担当地区:九州地区
2018年からソフトバンクのスカウトに就任
経歴:津久見高~法政大~大洋(1975年ドラフト2位)~横浜大洋~日本ハム

山崎賢一

出身:埼玉県 担当地区:中国・四国地区
主な過去の担当選手:松田宣浩
経歴:所沢商業高~大洋(1980年ドラフト外)~ダイエー

宮田善久

出身:栃木県 担当地区:関東地区
主な過去の担当選手:東浜巨
経歴:国学院栃木高~法政大~熊谷組~立命館大コーチ~立命館宇治高監督~ダイエースカウト

荒金久雄

出身:大分県 担当地区:関東・関西地区
主な過去の担当選手:高橋礼
経歴:PL学院高~青山学院大~ダイエー(2000年ドラフト5位)~ソフトバンク~オリックス

山本省吾

出身:石川県 担当地区:東北・北信越地区
主な過去の担当選手:大竹耕太郎
星稜高~慶応大~大阪近鉄(2000年ドラフト1位)~オリックス~横浜~ソフトバンク

稲嶺誉

出身:沖縄県 担当地区:関西地区
主な過去の担当選手:清水陸哉
経歴:沖縄水産高~東農大生産学部~ダイエー(2002年ドラフト8巡目)~ソフトバンク~福岡レッドワーブラーズ

福元淳史

出身:千葉県 担当地区:関東地区
主な過去の担当選手:島袋洋奨
経歴:市立船橋高~中央大学~NOMOベースボールクラブ~巨人(2008年育成ドラフト4位)~ソフトバンク

インタビュアー

田尻 耕太郎(スポーツライター)