2017/09/16 (土)
選手

リーグV奪回だ! 工藤監督、万感の胴上げ

歓喜のビールかけ、工藤監督「男泣きさせてくれてありがとう」

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歓喜のビールかけは、長谷川勇也選手会長の掛け声からスタートしました。

まず会場に工藤公康監督やコーチ陣をはじめ、選手、スタッフ、フロント陣らが大集合すると、壇上ではまず後藤芳光球団社長兼オーナー代行が「感無量です」と挨拶。続いて王貞治球団会長が「本当に素晴らしい戦いをありがとう。今年はホークスの歴史だけじゃなく、日本球界の歴史に残る戦いでした。工藤監督の指導は厳しいですが、結果が出ればみんなついていくんです。来年はもっと厳しくなるでしょう。でも、みんな手応えがある。来年も工藤監督についていってほしい」と興奮おさまらぬ様子で話すと、ナインからは「イェー!」と大きな声が上がりました。

そして工藤監督も「みなさんおめでとう。昨年、優勝を逃した時から、この時が来るのを待ち望んでここまでやってきた。みんな、男泣きさせてくれてありがとう。何も言うことはないです。ありがとう、そしてご苦労様」と感謝の言葉を何度も口にしました。

そして長谷川選手会長の「ナンバーワン、ワンダフルホークス、うー、1ダホー!」の合図とともにビールかけが始まりました。

用意されたビール3000本、コーラ480本、日本酒4斗樽8斗、一升瓶60本、シャンパン1本が一気に噴き出され、約30分ですべて空っぽに。

待ちに待ったこの瞬間のために戦ってきた選手たちは、心の奥底から喜びの声を上げながら、互いの健闘をたたえ合いました。

歓喜のメットライフドームから移動して、都内のホテルにてパ・リーグ優勝共同会見に臨んだのは工藤公康監督、柳田悠岐選手、東浜巨投手。喜びの声を、一問一答にて。

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工藤公康監督

――おめでとうございます。
「ありがとうございます」

――今の気持ちは?
「今はホッとしています」

――Vの瞬間は?
「まず一つ夢がかなったと思いましたし、2アウトをとって最後のバッターのところで、選手たちが全員ベンチに集まって笑っている姿を見て、よかったなこの時を迎えられて、1年間頑張ってきてよかったなと思いました」

――7回胴上げされました。
「みんなの温かい手が、すごく背中に感じられて、今まで支えてくれたんだなという思いが込み上げてきた。選手への感謝の気持ちがわいてきました。苦しいこと、つらいことも、宙を舞っている間は忘れることが出来ました。みんな頑張ってくれたと思います」

――選手時代も多数優勝経験があり、監督としては2回目です。今回は?
「1年目、みんなに優勝させてもらって、2年目は優勝させることが出来なくて悔しい思いをした。それを糧に自分ができることをやってきた。でも選手が、今年は1打席や1球、1試合を大事に戦っていた。勝っていくたびに充実した日々を送らせてもらった。3年目になりますが、一番長く感じたシーズンでもありました」

――今日の試合前、選手たちには何か言葉を?
「特にみんなを集めて何かを言うということはしませんでした。普段通り。選手にも普段通りやってほしいと思いました。マジック1なので、特別な気持ちはあったと思います。だけど、ここまで来たら自分の力を信じてやってほしいと思った」

――強いホークスを見せたシーズンでした。しかし、厳しい戦いもありました。
「今シーズンの開幕、いや、もっと言えば昨年負けた時から『こういう悔しい思いをしたくない』と積み重ねてきたことが、今日の優勝に繋がった。選手の負けたくない気持ち、それを日々感じながら特に8、9月はやれたと思います。バッターは1打席目がダメでも、次なんとかしてやろうとか、最後まであきらない姿勢を見せてくれた。それがこの差を生んだともいます。意思の強さ、心の強さが表に出たんじゃないかなと思う。彼らの成長を見ているだけで、僕も普段はグラウンドで笑わないけど、部屋の中でニヤニヤしていました(笑)」

――故障者も多かったが、みんなでカバーした
「頼もしく映りました。ここにいる、東浜くんも、この一年で驚くほど成長しましたし、柳田くんも途中から4番打者として、重責のかかるところでも自分の打撃を貫いてくれた。各々の成長、皆さんも見てとれるくらい成長した。若いピッチャーも、野手では上林くん、甲斐くんも。チームは総合力で戦うもの。勝ちに拘り、負けを悔しがるのが大切。6球団の中でその思いが一番強かったのがホークスだったと思う」

――これからの戦いへ
「日本一です。でも、それはまた明日から考えたい。今日はとにかく、この後、ビールかけを一生懸命楽しんで、終わったら明日へまた調整していきたい」

柳田悠岐選手

――おめでとうございます。
「ありがとうございます」

――今の気持ちは?
「このために、去年の秋からやってきた。頑張ってよかったと思う」

――今年の優勝はどんな思い?
「去年、本当に悔しい思いをしたし、それがあったから、秋やオフの練習を頑張れた。その努力が報われたので嬉しく思います」

――胴上げ
「感謝の気持ちで、はい。頑張りました」

――今年の強さはどのように見ますか?
「ピッチャーの人が抑えてくれた。僕たちは足を引っ張らないように守っていこうと常に考えていました。ピッチャーが頑張ってくれたと思います」

――柳田選手はこの優勝決定試合で、今季30号本塁打
「ありがとうございます。正直打てる気もしなかったですし、本当に足だけを引っ張らないようにと思ってた。野球の神様がいるんだなと思いました」

――この後は祝勝会です。
「僕コンタクトなんで、目をやられないように守って、明日に支障のないようにプレーしたい(笑)」

――まずは誰のところへ?
「監督、そして達川ヘッド。まず首脳陣から攻めたい。そして裏方さん。ずっと支えてくれた。みんなに感謝の気持ちをぶつけたい」

――今後へ
「まだレギュラーシーズン残ってる。まだ何かをつかめるチャンスがあると思って、戦いたい」

東浜巨投手

――おめでとうございます。
「ありがとうございます」

――今の気持ちは?
「正直、ホッとしています」

――大事な試合の先発を任されました。
「まずはしっかり試合を作ること。中継ぎの皆さんが頼りになる人たちばかりなので、最初から飛ばしていって、行けるところまで行こうと思ってた」

――相手も気迫あふれる投球でした。
「相手どうこうより、自分のピッチングをするだけと思ってた。目の前のバッター1人1人に集中して投げた」

――16勝目です。今年の成績について。
「出来過ぎだと思う。点を取ってくれる野手、後に投げるリリーフの人たちのおかげです。感謝したいと思います」

――今シーズンは飛躍のきっかけになったのでは?
「まだシーズン終わってないので、それはまだ考えられない。だけど、間違いなくいいきっかけをつかんだシーズンだと思います」

――ビールかけはまず誰のところへ?
「もちろん監督をはじめ、首脳陣の方々に。たくさん使って頂いたので、恩返しじゃないけど、まず行きたいですね」

――今後へ。
「パ・リーグ優勝しましたけど、シーズンもまだ残っているし、CS、日本シリーズと続く。次の登板に向けてしっかりと準備をして、目の前の試合を戦いたい」

工藤監督、涙の優勝インタビュー「この時を思って」

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その瞬間は、2017年9月16日午後5時20分。三塁手の松田宣浩選手がゴロをさばいて、一塁手の明石健志選手に矢のようなボールが届くと、次の瞬間にはマウンドを中心に歓喜の輪が出来上がりました。胴上げ投手はサファテ投手でした。

工藤公康監督が7度宙に舞い、続いてサファテ投手、そして長谷川勇也選手会長も胴上げされました。

優勝監督インタビューでの工藤監督。「今は正直ホッとしています。昨年優勝を逃しCSでも負けて、この時のことを思って…」と話したところで、声を詰まらせ、大きな瞳に涙を浮かべました。

「この時を思って1年間やってきました。チームが一つになることが何よりも大事で、それを昨年反省しました。大きな期待を裏切ってしまった。自分自身何をすべきか考えて、『1ダホー!』を合言葉にしてやってきました。勝った瞬間の選手たちの笑顔を見られて、本当に今年1年やってきてよかったと思いました」

8月中旬以降は独走し、一気に優勝のゴールテープを切りました。「昨年のシーズンが終わってすぐの秋のキャンプから、今年のキャンプなどでも選手たちが僕の課した厳しい練習にも何も言わずに乗り越えてくれた。そのおかげ」とナインへ最大限の称賛を送り、「本当に選手たちのおかげです」と満面の笑みを浮かべました。

また、ホークスが誇る、サファテ投手を中心としたブルペン陣も「文句の一つも言わずに何連投もしてくれた」と言い、野手陣の「一番誇れるのは最後まであきらめない姿勢と常に全力疾走をする姿。それは他球団にはないと思います。ファンの皆さんにもその全力疾走を見ていただきたい」という大健闘も工藤監督の心を打ったようです。

また、九州では昨年の熊本地震、今年の朝倉や日田などでの豪雨災害などがあり、今は復興に向かって懸命な日々を送る人々がたくさんいます。

工藤公康監督をはじめ選手、そして球団として被災地支援活動を行ってきました。「ファイト!九州」は、ホークスのスローガンとは別のもう一つの合言葉です。

「まだまだ復興が進んでいない状況ではあります。もう1度、九州は1つになるんだというところを見せて笑顔になりましょう。」

そして、改めてファンの皆様に向けて「まずは1つ夢がかないました。これもみなさんのおかげです。最終的な我々の目標は日本一奪回です。今年の『1ダホー!』というスローガンを決めたときに自分自身に誓ったことです。選手、スタッフ、球団、そしてファンの方と一緒に日本一に向けて頑張りたいと思います」と力強く声を上げました。

リーグV奪回だ! 工藤監督、万感の胴上げ

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9月16日(土)、ホークスの2年ぶり20回目(2リーグ制以降は18回目)のペナントレース優勝が決定。工藤公康監督が、華麗に宙を舞いました。

マジックナンバー「1」で迎えたこの日、ホークスはメットライフドームでライオンズと対戦。7対3で勝利し、パ・リーグ制覇が決定しました。

9月16日のリーグ優勝決定は、一昨年の工藤監督就任1年目のホークスより1日早く、パ・リーグ史上最速記録を更新しました。

勝負どころの夏場で一気に抜け出しました。8月15日に首位に立つと、それ以降はトップの座を一度も譲ることなく、2位以下をどんどん引き離しました。9月1日にマジック16を点灯させてからも、勢いは加速するばかり。9月は工藤監督就任以来最長となる9連勝も記録して、パ・リーグ優勝まで駆け抜けました。

「1ダホー!」の合言葉のもと、まさにチームもファンも一丸となって掴み取ったリーグV奪回。しかし、戦いはまだまだ続きます。10月18日(水)からは2年ぶり日本一を目指して、まずはパ・リーグのクライマックスシリーズ・ファイナル(全試合ヤフオクドームで開催)に臨みます。

2017年9月16日掲載
田尻 耕太郎(スポーツライター)

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